蚊の無駄にでかいやつであるガガンボ
(イラストは本文と関係ありません)
| 2002年06月分 | |||||||
| 第4週 | 6/16 | 6/17 | 6/18 | 6/19 | 6/20 | 6/21 | 6/22 |
第4週
| 2002/6/16(日) |
| 7時50分羽田発JAS161便にて青森空港へ。結局、一睡もできなかった。スカパーから戻って2時間ほどで家を出る。青森の話はさんざんナンちゃんに聞いていたが、訪れるのは今回が初めて。もっと早く来るんだった。9時到着、空港バスで市街へ。ワシントンホテルに宿泊したお通夜組と合流。妻と午前中、本町1丁目の関ガラス店へ行ってみる。ここがナンちゃんの育った町かぁと近所を散策、関ガラス店は「ガラスコワレマシタラ/関ガラス店」という看板が秀逸。 お葬式は立派なものだった。会場になったお寺さんはじまって以来の花輪が届き、「ナンシー関」という名前の大きさにあらためて驚く。入口で大月隆寛氏に声をかけられる。面識もなく、昔、ずいぶん僕について批判的なことを書いていた気がするので驚いた。受付を済まそうとしたら、妻がホテルにあずけてきたバックにお香典を忘れてきたというので仕方なくホテルへとって返す。もう一度、入口へ来たら大月さんは何だか知らないが会場の外で取材記者みたいに立っている。変わった人なのか、そういう見送り方がしたいのかちょっと見当がつかなかった。会場へ入ると知った顔が揃っている。ナンちゃんは青森の習慣でお通夜の前に骨になっていた。お焼香のとき、ナンちゃんのお父さんがわざわざ声をかけてくださる。お焼香や読経になっても大月さんが会場に入って来ないので、俺は別にあの人に何の義理もないが、ナンちゃんが世話になった人だと思って気になって仕方ない。しょうがないなあと思って、席を中座して外に探しに行った。いなかった。 お葬式の後、ワシントンホテルのレストランで渡辺祐、川勝正幸、小玉和文、鈴木慶一といった豪華メンバーで会食、いや、実際は朝倉世界一とか、もう30人以上いたんだけど、誰がいたか正確に思い出せない。皆、何となくぐったりしていた。食後、僕が希望者を案内する形で関ガラス店まで歩いてみる。店の前で写真を撮ったりしていたら、お寺さんからナンちゃんの位牌やなんかが帰ってきて、ちょうどよかったというかバツが悪かったというか妙な具合になった。17時5分発JAS166便にて帰京。 18時入り、スカパー『WCJ』出演。控え室で「スペイン×アイルランド」観戦。これはホントは内緒なのだが、見てる途中でうっかり寝てしまった。完徹な上、ナンちゃんが亡くなってからろくに寝てないからなあ。PK戦になって金子君が「これだけは見た方がいいですよ」と起こしてくれる。もっと早く起こせってーの。今日は、しかし、本当に体調が悪かった。ゲストの水沼貴史さんが、番組中、気づかってくれて、水沼さんだってへとへとなのに物凄く飛ばしてくれる。それでも最後の方はガス欠になって、自分でも何言ってんだかわからない箇所があった。番組に出てしまうほど体調が悪いっていうのも相当だ。終了後、うずくまってしばらく動けない。 |
| 2002/6/17(月) |
| 23時入り、スカパー『WCJ』出演。かなり復活。デイゲームをビデオ録画、夕方から2試合続けて見ることにして、久し振りに10時間くらい寝た。ベストを10とすると7くらいの状態だが、ぜいたくは言ってられない。昨日は2か3だもんな。充分、戦闘力のあるコンディション。ただ頭のてっぺんがズキズキ痛むのが困る。番組前に頭痛薬をのんだ。相当、楽になる。 控え室で顔を合わせてすぐ水沼貴史さんに昨日の不調をおわびする。本番開始直前、水沼さんがお菓子が欲しいと言い出し、じゃがりことかを間宮が買いに行ったので、これは面白いなぁと思い、番組中に使うことにする。「メキシコ×アメリカ」「ブラジル×ベルギー」を振り返ったりして、突然、間宮に「コンビニ行って、じゃがりこ買ってきてくんない?」と振ってみる。 番組前に買いに行ったじゃがりこはビニール袋に入ったままの状態でスタジオの奥にあった。僕としてはコンビニに買いに行かされたという設定で何でも好きなことをして下さい、という振りなんだけど全然意図が伝わらない。びっくりした顔してんのは計算通りなんだけど、ノッてくんないんだ。「ありますよ」なんて言ってスタジオの奥からコンビニの袋を持ってきた。 これはちょっといかんなぁと思う。最近、サッカー的な話題に積極的になってくれたのは良いんだけど、自分が要求されている役割が見えなくなってしまった。彼女は渡辺真理でも草野満代でもなくて、たぶん今後のキャリアでも一生そういうことは求められないだろう。もう、僕が手を貸してやれる期間はあとわずかだというのに、これじゃ他の現場へ行って立ち往生してしまう。 エスカレートの法則で、水沼さんリクエストのボールペン、それから視聴者生電話リクエストのサッカー雑誌を買いに行かせる。今度は2回とも本当にコンビニへ買いにいかなきゃならないものだ。間宮が物凄く渋ったので語気が荒くなってしまった。まぁ、視聴者にどう見えたって俺は構わないんだけど、何でタレントが自分に振りを作ってもらって渋るのかわからない。普段、サッカーの話に入り込んでるときはいっぺんも映してもらえないかも知れない立場なんだ。固定したシチュエーションから離れたり、戻ってきたりできるのは、必ずアップがもらえるという意味でタレントにとってこんなにおいしいことはない。 離れ際と入り際、アップがもらえるということは、タレントにとって表現ができるということだ。例えばどんな捨て台詞を言ってスタジオを出てもOKだし、コンビニでボールペンと納豆を買い求めてきて「何だよ、この納豆は?」「あ、それは明日の朝の買い物です」とかボケんのも自由自在。僕はどうボケてくれてもそれを生かしてやろうと待ち構えてたが、ボケてはもらえなかった。番組後、以上のようなことを説明してみるが、間宮は単に屈辱と受けとったようだ。失望感で暗い気持ちになる。彼女はそもそもあんまりテレビ見たりするの好きなタイプじゃないんだなぁ。一年以上、やってきたけど信頼関係は築けなかった。僕は普段、いっぺんだって間宮に買い物頼んだりしたことないけどなぁ。 |
| 2002/6/18(火) |
| 15時半、宮城スタジアム、日本×トルコ。10時、東京駅集合だったので、又々、完徹。昨日、突然、小牧さんから声をかけてもらって『WCJ』チームの観戦が実現。スタッフと安齋肇さん、間宮と俳優修行中の彼氏という顔ぶれで冷たい雨のふる仙台駅に降り立つ。間宮の彼氏は「チケット狙いで間宮に近づいたサッカーフリーク」とさんざんネタに使わせてもらった。今回はその埋め合わせというほどの意味合いだが、そもそもスカパーはキャストの私生活に犠牲を強いる強行軍のW杯編成に関して、余裕があるときはキャストの御家族にW杯を観戦していただくという、報い方をしているのだった。これまでも色んな出演者の御家族が試合を見に行ってるし、間宮の彼氏が見に行くのもそんなに変なことじゃない。僕も「奥様と御一緒にどうですか?」と何度も言われたけど、妻が辞退するし、僕も猫に小判だと思ったから、もし良かったら安齋さんに見せてあげられないかと相談してみたのだ。 試合は御存知の通り。トルコは好チームだが、勝てる相手じゃなかったかと思う。同じ負けるならチンチンにされて、やっぱ世界は凄いわとうなだれるような、討ち死にが見たかった。残念だったのはびしょ濡れで応援して、立ち上がったとき、後ろの席の人に「見えないから立たないで下さい」と注意されたこと。ふり続く雨も冷たかったが、宮城スタジアムの応援も実際のところ、そういう風だった。0対1。 22時入り、スカパー『WCJ』出演。東京駅で安齋さんと別れて青海放送センターへ入ったら「韓国×イタリア」戦がえらいことになってた。韓国ベスト8進出。主審のシミュレーションをめぐる過剰な対応も気になったが、それにしても大変な番狂わせだ。番組はゲストの後藤健生さんが宮城からの移動で韓国戦を御覧になってなかったこともあって「日本×トルコ」戦の総括のみ。何故、トルシエは勝ってるチームをいじったのか、本番で「実験室(ラボ)」めいた初めてのフォーメーションを試したのか、等、疑問点が噴出する。後藤さんも勝てた試合だったと感じておられた。番組上は「この代表のピークは2006年」と断言された後藤さんだが、終了後の控え室ではさすがにため息ばかりなのだった。 |
| 2002/6/19(水) |
| 23時入り、スカパー『WCJ』出演。今日は番組前のリハーサルで間宮が突然泣き出した。皆でびっくりしてわけを尋ねたら「日本代表が負けたから」と言う。「いや、急に泣いてちゃ視聴者わけわかんないから、そういうのは本番でやってくれよ」と言っても泣きやまない。凄いことになった。番組オープニングでいきなりアシスタントが泣いてるのである。リハから本番までがあわただしかったので判断ができなかったが、後で考えると、あれはスタジオから外す手もあったと思う。まぁ、難しいところだな、レギュラー出演者は顔のつながりも大事だし、僕もその後、20分とか30分とか、ずっと間宮がすすり泣き続けるとはその時点で予想できなかった。 番組前半はおかしな具合になった。ゲストは水沼貴史さん、大竹奈美さん、由美さんで、我々は昨日負けちゃったからって代表レプリカユニホームを急に着なくなる地上波の風潮にモノ申すべく、全員、揃いのブルーで出演した。いや、俺、W杯番組やってるわりにユニホームで出たの初めてなんだけど、それで話していると間宮のマイクがすすり泣きを拾って、「絵には泣いてる人が映ってないけど、すすり泣いてるなかで代表レプリカ着て、皆、しゃべってる」という状態になり、途中でそういうFAXをいただいたけどムードがお通夜なんである。CMのとき、間宮のマイクをしぼるように指示を出したが、場の雰囲気が湿っぽくなるし、本当に難しかった。「間宮さんの純な涙のおかげで私もしみじみ泣いて、ようやくふっきれました」的な反応もあったから、まぁ、そうだとしたらケガの功名だけど、生放送は色々あるねえ。 今日、もうひとつ地上波の風潮に逆らって意識して取り組んでみたのは「韓国がベスト8行っちゃって悔しいねえ」という感情をオープンにすること。僕は内部通達があるわけでもないと思うが、地上波の番組が「共催のパートナー韓国の快挙です」「皆で韓国を応援しましょう」一色になってるのが気に入らない。そんなもん応援したい奴がすりゃいいじゃん。僕は4年後を思うとライバルを調子づかせたくない。いや、「悔しい」くらいテレビで言えた方が健康じゃないのかなぁ。間宮が泣きやんだ後は、水沼さんも大竹姉妹もばんばん本音を語ってくれて爆笑軌道に戻すことができた。水沼さんも大竹姉妹も日韓戦の経験が豊富だからディティールが抜群だ。 |
| 2002/6/20(木) |
| 23時入り、スカパー『WCJ』出演。ゲストは後藤健生さん、『サッカーマガジン』の伊東武彦編集長。今日は後藤さんの凄味がテレビにのった。後藤さんという人は日本一、学者肌で博覧強記のサッカー評論家であるけれど、全く書斎派・安楽椅子型ではなく、これ又、日本一、現場主義・フィールドワークの人だ。そしてもう一枚加わるのが今日の放送で御覧いただいた部分、日本一、年季の入った熱いサポーターであるところだと思う。番組冒頭、「韓国×イタリア」のビデオを「見てません、見たくもない」と言い切り、本来ならテレビ的にデリケートな扱いになる韓国という対象に、実に鋭く踏み込んでゆく。浅薄な印象批評でなく、後藤さんの博識、経験あっての言葉だけに説得力抜群。伊東さんと僕はパス出したり、フォローアップする役割に廻ったけど、今日の放送は只事じゃなかったんじゃないか。「日韓友好」をきれい事で思考停止させないリアリティーである。番組後、小牧さんが飛んできて、「いやぁ、頂点を極めましたね」と物凄く嬉しそうだった。 |
| 2002/6/21(金) |
| 10時13分東京発こだま413号にて掛川へ。今日は番組お休み。「親友」の近澤浩和さんが第2次販売でゲットしてくれた準々決勝観戦だ。近澤さんはスカパーのソウル班でずっと仕事をしていて、久々、1泊2日の帰国。こだま号車内で同じく「親友」の安齋肇さん、それから放送作家のイトーさんと顔を合わせる。安齋さんの表情が宮城へ行くときと全然違う。あの日は緊張しきった顔で、どうも言葉数が少なかった。まぁ、日本代表が負けてしまって、ある意味、気が楽になったというか。しかも、今日のカードは「イングランド×ブラジル」だ。W杯を楽しむという意味では最高のカード。 掛川駅で降りたらイングランドサポーターが駅員のマイクを奪って応援をはじめたのでホームは大爆笑。ブラジルサポーターも歌や鳴り物で大騒ぎしている。掛川でメシを食って、愛野駅へ移動。愛野駅前でシジマールを見かけた。そこからエコパまで歩いたんだけど、途中、あらゆる場所がサッカー一色、お祭り状態になっていてホントに楽しかった。安齋さんたちと「W杯は楽しいねえー」なんて言って、今日は本当に実感がこみ上げた。 15時半、静岡エコパ、イングランド×ブラジル。我々の席はホームスタンド、ブラジルベンチ側の最前列だった。ピッチ全体は見渡せないかわりにコーナーキックが目の前だ。それから前半はベッカムとロベルト・カルロスのマッチアップをかぶりつきで見られる。これは最高だった。詳細は『サッカーマガジン』にも書いたので割愛するが、夢のようなひととき。ロナウジーニョの退場で、逆にイングランドはカウンター攻撃が仕掛けにくくなり、戦況が思うにまかせなかった。気温30度の暑さが残念。夜の試合だったらもっと凄かったんじゃないかなぁ。今日はロナウジーニョとリバウドが素晴らしかった。 |
| 2002/6/22(土) |
| 23時入り、スカパー『WCJ』出演。ゲストはセルジオ越後さん。準々決勝の2試合、「スペイン×韓国」、「セネガル×トルコ」の総括ということになるが、何と韓国がPK戦でスペインを破ってしまったので、そこに話題が集中。又しても微妙な判定でスペインの2ゴールは認められなかった。今日は番組途中、韓国の青嶋達也さんに電話をつないだのだが、ここがヤマ場だった。電話がつながったとADに合図をもらってから、意図的にセルジオさんとシリアスな応酬を続け、電話で聞いている青嶋さんにスタジオの雰囲気を伝える。それから青嶋さんを呼んで、ベスト4の韓国の空気を冷静なトーンでレポートしてもらった。今日はこれをやる為にスタジオの空気を作ってきたといっていい。何しろ、番組冒頭、質問に答えないセルジオさんに3回同じ質問を繰り返して、ピーンと張ったものを作って来たのだ。 「青嶋さん、踏み込むよ」 電話の向こうの青嶋さんに「真剣を抜くよ」と合図を送った。これは青嶋さんくらいキャリアのある、しかも、わかり合えてる人じゃないと受け切れない領域だ。僕が尋ねたのは、「韓国×イタリア」戦の中継のとき、スカパーの実況席で青嶋さんが発した「韓国サポーター、はっきり言って感じ悪いです」コメントの真意であった。僕は今、韓国で起きている現象は、東アジアをジャーナリスティックに考える上で最高のテキストだと思っている。こんなものをマスコミ的制約でデリケートに扱ってちゃラチがあかない。 青嶋さんは本当に頑張ってくれた。実際に目撃したという、「日本×トルコ」戦の中継を見て日本がシュートをはずす度、拍手や歓声をあげていた韓国サポーターの様子を伝え、まぁ、地上波がどんな寝言言おうと、人々の反応が歴史から自由ではないことをきちんと言葉にした。この辺りは単なる電話コメントとしては、テレビ史上空前の緊張感だったのじゃないか。それから僕のここ数日の疑問、「韓国の赤い熱狂現象は、日本が近代化の過程でかつて通り抜けてきた(例えば東京オリンピックの女子バレーボールとか)、そういう質のものか、それともまったく別の前提を持ったものか」を尋ねる。青嶋さんが渦中にあって体感した答えは「異質なもの」であった。いや、こういうの後出しジャンケンならいくらでも何でも言える。そのとき、その場で、自分の責任で言うのが凄いんだ。青嶋達也、男だよな。素晴らしいレポートだった。 もう、そういうギリギリのやつをやるとスタジオは緩急自在である。セルジオさんは「日本・韓国/アジアのブラジル・アルゼンチン」論を開陳するし、間宮は視聴者との電話で得体の知れない大ボケをかます。今日はけっこういい番組になったんじゃないか |