蚊の無駄にでかいやつであるガガンボ
(イラストは本文と関係ありません)
| 2000年10月分 | |||||||
| 第3週 | 10/15 | 10/16 | 10/17 | 10/18 | 10/19 | 10/20 | 10/21 |
第3週
| 2000/10/15(日) |
| 14時フェースオフ、日光アイスバックス×日本製紙クレインズ(日光霧降アリーナ)。 ついに今年も日光を訪れる日が来た。東武線で終点まで完全に寝て行こうと思ったが、新鹿沼駅を過ぎた辺りで目が覚めて、そうしたら嬉しくって車窓の景色ばかり見る。昨夜、2時間くらいしか寝ていないのにこの始末。山々が連なる様が素晴らしい。徳川家ゆかりの杉並木が目の前にある。大谷川が風景にアクセントをつけている。日光だ。僕のホッケーのホームタウンだ。 東武日光駅で宇都宮市在住の、中学の同級生、平岡”ちんねん”宏介と待ち合わせ。彼のクルマで霧降アリーナへ。駐車場のところでFAXレポートをいつも送ってくれる星野宏さんらと出くわし、皆で意気揚々とゲートへ向かう。ここはいいなあ。大自然のなか、思い思いにBucksのジャージやウェア、フラッグなんかでいかれぽんち状態になった人たちが、そのいかれぽんちな期待感をまっすぐ大空に掲げるようにして早足でゲートへ歩いてくよ。外国ではそのいかれぽんちのことを「ホッケーナッツ」っていうんだ。木々の恵みがナッツだからなのか、僕はいつも霧降のパーキングからゲートまでの道、「ホッケーナッツ」という愛すべき言葉を思い浮かべる。 ゲートを入ったらまず正面のデスクで当日のメンバー表を買ったりして、それから募金箱にお金を入れる。今日の場合、僕は2時間かけて東武線快速でここまで来たから特急スペーシアに乗ったつもりで特急分を募金した。開幕から破竹の快進撃を続けているBucksだが、こんなに頑張っているのにこのままでは今季途中で活動資金がゼロになってしまう。そうはさせるか。今シーズンは奇跡を叶えるシーズンなんだ。 がんばれBucks、俺たちがついてるぜ。デスクには僕が文章を寄せたイヤーブックも並んでいる。売店の方は新グッズが充実。チーム名にひっかけた「鹿」という漢字ロゴ野球帽が気に入って購入した。俺、そのうち街の刺繍屋で「馬」っていうのも個人的に作るかも知れん。がんばれBucks、こんなのがついてるぜ。 「どとほー」(最強最大のBucks応援サイト、どとほーはチェコ語でがんばれの意。『日光バックスどとほー』)の管理人、片倉さんをはじめ、アリーナの顔見知りとあいさつを交わすうち、日光アイスバックスが氷上に姿を現す。今日はオレンジと黒のサードジャージ着用だ。アリーナぐるり一周がメガホンや歓声でこれを迎える。カッコいいぜ。僕は試合前のこの一瞬が大好きだ。これから初めてホッケーを見てみようという人には絶対、試合開始1時間前に会場入りするのをすすめる。1時間あれば最初の30分くらいで雰囲気に慣れ、万全の状態で練習が見られるだろう。練習は席で見る必要がないからなるべく自陣エンド近くで立って見よう。迫力が違います。 さあ、開始時刻が近づいた。今年のBucksは氷上に並んで、わざわざヘルメットをぬいでファンに一礼してくれる。気持ちがこもってて大変評判がいい。場内グッと盛り上がったところでフェースオフ。ところが第1ピリオド、我々はクレインズのラッシュに肝を冷やすことになる。昨日負けてるだけに相当ネジ巻いてきたな。ディフェンスが厚いし、攻めが徹底的。つまり、開戦と同時に一斉射撃を仕掛けてきた状態だ。Bucksのディフェンスは木の葉のようにふらつき、決定的なチャンスを何度も与えてしまう。アレン・コンロイ(クレインズ、#15)ってやっぱ凄ぇな。ほとんど自陣で試合が展開した印象。攻めても単発でどうにもならない。強ぇよ、クレインズ。 その、まるで『プライベート・ライアン』みたいな1ピリを0対0にしのいだのはGK、春名真仁(#61)の頑張りもあったが、幸運にも恵まれたといっていい。1ピリ終了後の休憩で、「0対4で仕方なかった」と話す。僕の読みでは次の2ピリが山場だ。ここでどっちへ向かって動き出すかで勝負事は大概カタがつく。第3ピリオドはおそらく互いに死力を尽くして又、膠着するんじゃないかという気がした。押せるのは両軍ともに次の2ピリだろう。 「ディフェーンス!」どうせ又、一斉射撃が始まるんだろうと思って俺は2ピリのフェースオフのとき、大声を上げていた。BucksのDF陣の奮闘が始まる。試合を押し返すのは今、このときだ。守りを固めてじっくり押し返せ。敵弾は徐々に数を減らし、あせりの色が見え始める。そうしてもらったパワープレイ中の7:46、高橋淳一(#34)がついに先制ゴールをスパーッと通す。これで動きだした流れは一気にBucksへ傾く。8:49、パトリック・デガステッド(#92)、10:12、藤澤悌史(#74)の追加点は、何とキルプレー中(つまり、逆パワープレー)の連続得点。 クレインズは2ピリ、12:01に原武(#34)、3ピリ、8:26に竹内#32)が反撃ゴールを奪うが、結局、2ピリ中盤の3失点が挽回できなかった。あの数分間だけ試合が劇的に動いたのだ。それでも第3ピリオド、特にラストの6人攻撃は壮絶で、俺たちゃ何度も何度も「うわあああー」と声上げてノドがガラガラになったぜ。そういうわけでゲームベストプレーヤーはGK、春名。3対2。いやー、ホントによく守ったと思う。 勝ったー。我々は意気揚々とアリーナを引き上げ、その足で市営温泉施設「やしおの湯」へ。更に意気揚々とBucks、高橋兄弟の御実家、中華料理「翠園」へ。旨いカニシューマイに舌鼓を打っていたら、そこへさっきゲームベストプレーヤーで表彰されたばかりの春名選手と若きFW、三田亮太選手(#25)、そして本間マネージャーがひょっこりやって来たじゃないか。もう、たまりませんなあ。我々は日光シリーズの連勝を讃え、それから握手なんかをして、高速道路にのり、意気揚々と東京へとって返したのである。 |

僕がかぶってるのが「鹿」キャップ。
隣のサトー君の着てるのが今年のオーセンティック・ジャージ。

ピリオド間の休憩ではこのように可愛いおねいさんが
募金箱を持って客席を廻ったりもする。
| 2000/10/16(月) |
| 16時、横浜市戸塚区、日立製作所・システム開発研究所、宝木和夫セキュリティシステム研究センタ長(主管研究員、工学博士)のインタビュー取材。宝木さんは「暗号技術の天才」「情報セキュリティー研究のスタープレーヤー」と呼ぶべき人で、僕はそんな人から将来の情報ネットワーク社会のレクチャーを受ける幸運を得た。 電子政府や電子マネー、電子署名、本人認証技術、といった分野(ということはインフラの整備等、社会のグランドデザインに関わるくらい、世の中ひっくるめてという意味になるが)で、暗号技術は不可欠なんである。そして、暗号自体は本質的に消耗品なので研究に際限というものがない。「IT革命」「21世紀の情報化社会」といったバラ色の幻想の暗部に向き合って奮闘する宝木さんは、(あるいは世界じゅうの宝木さんのような研究者は)未来が安定したものになるか混乱したものになるか、二つの選択肢を前に、「まもの」にギラの呪文を浴びせるドラクエの「勇者」みたいな状態だ。 「常に事態は悪化する」、暗号の消耗について言った宝木さんの言葉が胸に残る。僕は近未来のイメージをこれほど端的に表現したセンテンスは他にないと思う。常に事態は悪化するのだ。疲労し、劣化し、消耗する。無限落下のイメージを思ってもいい。飛躍的に快適に便利になりながら、それを基盤で支えるものは無限落下しているという社会。もう面白くて面白くて倒れそうだった。 |
| 2000/10/17(火) |
| 19時半開演、遊◎機械/全自動シアター『メランコリーベイビー』(青山円形劇場)。作・高泉淳子、演出・白井晃、出演・筒井道隆、高泉淳子、福井貴一、白井晃、ムットーニ。 自動人形師ムットーニの作品世界と遊◎機械の舞台が、「フレーム・イン・フレーム」という感じで入れ子細工状の面白い効果をもたらす。あて書きの主人公、筒井道隆が他の誰にも出来ない存在感を発揮。高泉さんとこの芝居はホントにいいな。私はこんな人たちと同世代なのが、自慢であります。 |
| 2000/10/18(水) |
| 17時55分、NHK教育テレビ、シドニーパラリンピック開会式。 派手な開会式だったなあ。125の国と地域、約4000人の選手団、観客11万人はパラリンピック史上最大規模。おそらくこれでバーンナウト状態だったシドニー市民も新しい目標ができて少し元気をとり戻すだろう。オリンピック選手、役員、ボランティアのなかには大会が終わることで、うつ傾向に陥る人がかなりいて、カウンセリングの対象になっているという。しかも、これが又、面白いことに成功した(盛り上がった)大会ほど、大勢の人が反動を食らうことがわかっている。意欲がゼロになり、仕事を辞めてひきこもってしまう人や、ひどい場合、自殺してしまった例もある。「大成功」とサマランチ会長に絶賛されたシドニー五輪は、そういうわけで専門家によって大変危惧されていた。 僕はなにしろ『パラリンピック・マガジン・オブ・ジャパン』誌の巻頭コラムを執筆しているから、知り合いが沢山シドニーに出かけていて限りなく身内な立場で開会式を見たが、熱狂する11万人の様子に一方でそういった複雑な感情も抱いた。日本選手団はジャージ姿の入場で、五輪で評判悪かったレインボーマントは着用せず。 あと全然カンケイないんだけど、今、読んでるのが南さんの新刊(『平然と車内で化粧する脳』澤口俊之、南伸坊・共著、扶桑社・刊)で、北大の澤口教授(認知神経科学、霊長類学)の物凄く刺激的なネオテニー理論にうならされていたところだったので、各国選手団の顔をつくづく見入ってしまった。「ネオテニー」は日本語でいうと幼形成熟である。ま、ウーパールーパーがわかりやすい例なんだけど、サンショウウオの一種が進化の過程で幼生期の特徴を持ったまま成熟し繁殖するような現象。 そもそも人間はネオテニー化したサルであるらしい。毛におおわれてないとか、そういうこともあるけれど一番の特徴は脳が未熟なまま長い期間、学習し発達する仕組みをつくったことなんだそうだ。 そして、驚いたことにヒトの進化は続いていて、ネグロイド(黒色人種)からコーカソイド(白色人種)、そしてネグロイド(黄色人種)とネオテニーが進行しているっていうんだな。モンゴロイドの祖先はおよそ5万年前にコーカソイドから枝分かれして独自の進化の道をたどったらしい。 つまり、モンゴロイドは他と比べて幼年期が延長される傾向があって、まあ、背が低かったり、子供っぽかったりするかわり学習能力が高いということになる。ま、そういう生存戦略を進化系統として選択したみたいなんだなあ。これ、ひとつ間違うとヒトラーとかの優生学めいた話になるんだけど、一応、モンゴロイドはヒトの進化としては一番先を行ってるんだってさ。 「カワイイ」という、未熟さの部分にプラス価値を見出した僕らの時代の美意識はネオテニー的に正しいというか、最先端だったのかも知れない。一番進化したモンゴロイドは、その分、「脳がいつまでたっても未熟」、「冒険心や独立心がない」「ちんちんが小さい」等の特徴を甘受しなければならない。澤口さんの現状認識は、そういうモンゴロイドである日本人が本来、学習吸収期間である子供時代、若者時代にちゃんとしたしつけを受けたり社会性を獲得する機会を損なうと、生存戦略自体がアダとなって危機的なことになる、というもの。 説明がやけに長くなったけど、そんな本を読んだ矢先だとですよ、台湾選手団とか、なるほど子供っぽいなあと感じ入るものがあるね。そのとき考えたけど、僕らひょっとして「外人」とか、そういう内と外の感覚の他に、「カワイイ」「カワイクナイ」っていうモノサシを生理的に持ってて、「カワイクナイ」(つまり、身体が大きく体毛も立派で大人っぽい)を怖がるところがあるかも知れないな。 |
| 2000/10/19(木) |
| 14時ごろ、浅草演芸ホール、「三代目 林家正楽襲名披露興行」。 本当は鈴本にお邪魔したかったんだけど、なかなか思うようにならなくて今日になってしまった。ホールはバスツアーらしきお客さんで満員、2階席へ通る。川柳川柳、ペペ桜井、春風亭小朝、鈴々舎馬風とすすんで仲入り、そして幕が開くと襲名披露の口上である。 林家こん平、正楽さん、馬風、そして落語協会会長・三遊亭円歌が並び、何とも愉快な口上になった。やっぱりこれはお祭りなんだな。2階から必死に拍手。 それから松旭斉美智、こん平、すず風にゃん子金魚、円歌とすすんで、いよいよ昼の部主任、正楽の出番である。ホールのパンフレットにも「色物の師匠がトリを取るのは、江戸家猫八師匠以外には現在ありません」となっている。いや、猫八ですらこんな何十日も務めなかったそうだから、まさに前代未聞。 正楽さんは気負った風もなく登場、「相合傘」「馬」を切った後(「馬」は入門したとき初めて習ったものだそう)、客のリクエストで「まねき猫」「来年の干支」、「寅さん」「長嶋茂雄」といった辺りを切っていく。紙切りという芸は愛敬の芸だ。お題をいただいてハサミを使いながらまず座持ちがしなくてはならない。そして座持ちしてる間に客の期待感を育て、上がりはその想像を上廻ってなくちゃつまらない。三代目、大変な芸です。堂々とトリを務めてました。 その後、プロジェクターを使って影絵劇場みたいな趣向(美空ひばりの歌に合わせて絵を変えていく)になるんだけど、これは愛敬芸でもあって、スケール感もあって、実に感心した。まだ明日、浅草の楽日があって、その後、池袋演芸場だよ。あれ見とくと一生の宝じゃないでしょうか。 終演後、楽屋を訪ねてごあいさつをする。そうしたら「HPで書いてくださったんですって? 知り合いの編集者から聞きました」と言われ、ひっくり返る。管理人さん、当HPは寄席にまで届いてるらしいよ。 |
| 2000/10/20(金) |
| 昨夜ぐらいから風邪最悪。熱は37度5分くらいなんだけどヘントウセンが腫れて、軽いゼンソクの症状。医者から抗生物質を出してもらったので今朝は多少改善されたが、文化放送行きたくねえ。 というわけにも行かず、雨ふってたんでうちの奥さんに浅草橋までクルマで送ってもらって文化放送へ。『吉田照美のやる気MANMAN』、今週取材したばかりの宝木博士の話をする。まあまあの出来。 16:30 アトレ四谷、ル・シャン・ド・ピエール。カタログハウス、武茂氏、神尾氏と打ち合わせ。 いや、何かふらふらです。今日は早寝。文化放送で公言したことだけど、ちょっと明日、日光行くのはつらいかもしれない。おっかしいなー、こないだいったん治ったと思ったんだけどなあ。 |
| 2000/10/21(土) |
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