相手を決めて野球みたいに毎回表裏があって9回終了の形式。
場合によっては延長戦もあるかも?



今回のゲスト対談者はアイスホッケー選手の春名真仁さんです。


7回へ


8回表
 春名真仁様



 昨夜、新橋で本間靖之さん、土田英二選手&高橋一馬選手という顔ぶれで「帰朝報告会」をやりました。マラーズの写真集を見せたり、試合会場の雰囲気を伝えたり、楽しいひとときでした。皆、春名君の経験を頼もしく思っていて、一緒に行けなかったのを残念がっていました。本間さんは「僕が行っていたら絶対、フリントへ行きましたね。運転大好きだから全然平気でしたよ」とのこと。帰国したら又、焼肉屋さん借り切ったりして、パーティーやろうって話になった。まぁ、そのときがホントの「帰朝報告会」だなぁ。皆、待ってるぞ。ひと廻り痩せた(?)春名君が戻って来るのを(笑)。

 昨夜、話して皆、関心が高かったことのひとつに「設立8年めのマラーズが何故、そんなに成功しているか」みたいなテーマがあった。まぁ、マネジメントの問題だね。「チームが強けりゃお客さんは入るんだ」とカンタンに言う人がいるけど、そんなもんじゃないよねぇ。春名君はBucksの経験と照らし合わせて、マラーズはどんなところがうまく行ってると思いますか? 僕は知恵やノウハウはどんどん日本に持ってきた方がいいという考えで、そういう意味ではたぶんNHLよりマイナーリーグの方が参考になるんじゃないかと思っている。例えばブースタークラブの在り方なんか、NHLとはまったく違うでしょう。この辺りの話が熱を帯びて来ると、本間さんはほとんど「俺がこれから行ってマラーズで働いて来る」くらいの感じになって、すごい良かった(笑)。

 僕はBucksのファンになって、まぁ、春名君と知り合ったりして、何というのかなぁ、損得なく新しいことをしようとしている「バカ」と仲良くなって、こりゃすんげえ面白いことだなぁと思っています。僕はプロ野球もJリーグも関係者を知ってるけど、全然、経営規模も注目度も違う、意地だけで成り立ってるような世界だ。土田英二も「バカ」で嬉しくなっちゃうなぁ。高橋一馬も初めて話し込んだけど夢を持っている。日本のホッケーは今、底値だけど、面白い奴がいる。しばらくしたら何か変わっていく気がしてるんだ。




 えのきどいちろう



8回裏
 えのきどいちろう様



 プレーオフは残念ながらファーストラウンド3連敗とチャンピオンリングはお預けとなりました。ヘッドコーチのギルスはNHLホエラーズ(現在のコロラド)時代のチャンピオンリングを持ってるのですが、ちょっと普段は付けるのが恥ずかしいくらいゴツくてバブリーなリングでした。でもそんなのが欲しかったです。
プレーオフは初戦にホームで負けて焦りがあったと思いますが相手のゴーリーの出来も非常に良くてなかなか得点が取れませんでしたね。特に短期決戦では一度失った流れを引き戻すのはなかなか難しいです。出場は出来ませんでしたがプレーオフ独特の切迫感というか緊張感を感じることができました。
でもレギュラーシーズンが長かった分、プレーオフがあまりにあっけなくてまだシーズンが終わった実感がないです。
それでも今日までにはアパートを引き払わなければならなくてすでに荷物をパッキングしました。現在チケットを手配中なのですが帰国は来週になりそうでこれからホテルに移動します。

さて半年クアッドシティでプレーしてチーム運営でバックスの参考になるようなことも幾つかみられました。実際にはお金の出入りに関しては全く関知してませんので経営面は分からないことがほとんどです。オーナーが2人いるという話もきいたことがありますし運営費がどれほどなのかもわかりません。
しかし選手のサポートや地域との関わりについては参考になるものがあると思います。

まずチームは地域、スポンサーとの繋がりを非常に大事にしています。契約期間内では試合のない日はほぼ毎日(数人ずつ)なんらかのプロモーションがあります。それは小学校に訪問して本を読んであげたりして子供たちと過ごすものであったり、提携レストランやお店でのサイン会、地元ラジオ局への出演、ブースタークラブの運営会議への出席、子供たちのスケート教室などです。これらのいくつかはバックスでも行われていると思いますが、違うのはシーズン中ホームにいる時は毎週何かしらが行われるところです。ですから選手は毎週このどれかに参加することになります。
特にブースタークラブとの関わりは深くてお互いが尊重し合っています。ブースタークラブは日本で言うところの後援会でチームとは独立して運営されています。たとえばほとんどの選手は開幕戦の前日にアパートに引っ越したのですが準備がすぐにできない選手のかわりにブースタークラブで電化製品(レンジ、トースター等)、食器類、タオル、シャワー道具等の生活用品全てを用意してくれます。僕ははじめての日本人だったのですがすぐに炊飯器とお米も用意して頂きました。またクアッドシティに身寄りのない選手ひとりひとりにホストファミリーを与えてくれてこの町での家族として接してくれます。僕はほぼ毎週末、ホームゲームの後は彼等と食事をともにしてます。このホストファミリー制度には選手や家庭によって問題が起こることもあるようですが、おおむね良好な関係が築かれているようで、アメリカ生活一年目の僕にとっては本当に頼りになる存在です。そして多い時には1000人以上が集まるブースタークラブ主催の食事会やクリスマスパーティー等(一般の参加費$5〜10)にはチーム、選手の全てが参加します。言葉は悪いかもしれませんがブースタークラブは選手を上手く利用してお金をつくりそれを選手のために還元してくれます。他にもブースタークラブが設定している完封賞やハットトリック賞などのボーナスもありました。
試合会場では選手のポスター(年間10枚程)や人気選手のバブルヘッド人形などが配られるのですがほとんどがスポンサーがついていてチームの負担を軽くしています。僕は地元の携帯電話会社のスポンサードでポスターを作ったのですが、それは携帯電話をキャッチしているといった写真でした。他にもクアッドシティ空港の冠で手荷物受取所で撮影というのもありました。

チケットは最も価格が高いシートでも15ドルほどですが、シーズンチケットは通常のチケットに比べて割安でしかも観に行くことのできなかったチケットは他の試合のチケットに交換できることもあってシーズンチケットの購入者が多いと聞きました。
また団体チケットやスポンサー向けのチケットもかなり割安なようです。でもこの辺りのサービスは会場のキャパシティにも関係してくるとは思います。クアッドシティのホームリンクは1万2千人が収容できるので4、5千人の観衆では少し閑散としてしまうため儲けよりも集客に力を入れている印象です。儲けを度外視するといった点では先日のジャージオークションの売り上げ(総額500万円以上)はすべて地元チャリティーに寄付されたようです。おそらく財政的にはそれほど余裕があるとは思えないのですが地域や社会に貢献する(しているという姿勢を見せる)ことが後々、自分たちに還ってくるという意識があると思います。

他にも試合の際ロッカールームではどこのリンクでもスティックボーイなる小中学生が4、5人いてベンチに入ることはないのですが両チームのドリンクを作ったり、スティックや防具を運んだりと試合中忙しい選手やトレーナー、エキップメントマネージャーの手助けをしてくれます。彼等はボランティアでクアッドシティの場合は1シーズン同じメンバーでしたがみんな選手のわがままに文句もいわずによく働いてくれます。いつも選手より先にリンクに来て選手より遅く帰ってました。それでも子供達にとってはチームのために働ける、選手の近くにいることが名誉のようです。

とりあえず気付いたことを挙げてみました。他にも気の利いたものがたくさんあるはずですが全試合ベンチに入っていたので、試合中やインターバルのことは分からないことが多いです。とにかくリンクの中でも外でも地域とスポンサーをとても大事にしているなというのが印象でした。




 春名 真仁


9回表へ



公開Eメール対談2へ

今までのEメール対談へ

TOPページへ