四回戦

ゲスト対談者は文化放送アナウンサーの斉藤一美さんです。


六回へ


7回表
 いやー、又々びっくり仰天です。CS、勝っちゃいました。僕の予想は「スイープか最終戦までもつれるかのどっちか」でした。9月28日の西武戦みたいな勢いが持続していれば、本拠地だし、あっさり3連勝って目もあったと思うんです。そうしたらロッテが強かった。サイトーさんの言われる「もはや”奇跡”というレベル」の熱を選手らが身体に蓄えていた。

 「最終戦までもつれる」場合はどっちが勝ってもおかしくない、もはや時の運だと思ってました。ロッテはホントに凄かった。初戦いきなりの西岡のプッシュバント、最終戦の今江のバントヒット&走塁。それから第2戦、コバヒロの足がつって投げられる状態じゃないのに、一度、マウンドに戻った姿。僕は随所で感動しましたよ。

 ファイターズとしてはトレイ・ヒルマンの賭けが当たった形です。報道陣に何度も同じ質問されて、逆ギレしてまでこだわった「4番・セギノール」が最終戦で決定的な仕事をした。CSでたった一発のホームランです。里崎に盗塁を刺されたり、ファイターズは対策を練られていた。サイトーさん、やっぱりホームランは野球の夢です。
僕ら、「足をからめる」とか「ミスにつけこむ」とかばっかりイメージしてた。一番忘れていた得点のとり方で勝負が決した。

 僕は本当にまとまったいいチームだと思います。そして、たぶん去年の優勝より値打ちがあるだろうと思います。何か高校野球やなんかの「勝ちながら強くなってくチーム」みたいです。スーパースターがいない。まぁ、ダルビッシュ有はそう呼んでもおかしくないけど、まだ前途ある投手だ。日本シリーズの相手はまだわからないけど、ヤングファイターズがどう戦うのか楽しみですよ。

 チーム関係者に聞くと、千葉マリンスタジアムでシーズン優勝を決めた後、あまり皆、喜んでなかったらしいんだね。「日本一じゃないと物足りない空気」って物凄いもんが選手たちにあったらしい。僕は何ということだろうと驚くよりほかない。日本シリーズは文化放送中継の「試合直前番組」に全試合出演させてもらえるそうで、どうもありがとうございます。僕は「トレイ・ヒルマンのチーム」を最低でもあと4試合見られることがイチバン嬉しいです。



  えのきどいちろう




7回裏
 よかった〜っ、えのきどさんがウチの中継に毎日出てくれることになって。

 パはどのチームが出てきても無条件で応援しますけど、とりわけハムとロッテは気になる存在です。どちらにも勝って欲しかった、というのが正直な気持ちでした。
でも“ロッテ日本シリーズ進出=えのきどさんに断りの電話”という図式だけは絶対に避けたかったので、番組制作担当者としては最高の形で今週末を迎えることができます。
ファイターズ愛、ひいてはパリーグ愛・野球愛を、毎試合前に熱く語って下さい。ただし5分以内で(笑)。

 『やっぱりホームランは野球の夢』かぁ。実況する者にとっても、何かこう、胸キュンな言葉ですね。

 セギノールの一発といえば、去年のシリーズ第5戦。中日の大エース・川上が凡打を狙って投げたカットボールを、やや詰まり気味ながらライトスタンドへ高々と放り込んだ決勝2ランが思い浮かびます。札幌ドームは興奮のるつぼと化しましたよね。あの“るつぼのド真ん中”をゆっくりと大きなストライドで走って行くセギは、そうでなくても大きな顔をさらに大きく見せるかのように快哉を叫び続ける表情が、クドカン脚本ドラマに主演する長瀬智也のような趣きだったのをよく覚えています。成瀬得意の外に逃げていく完ペキなチェンジアップを、泳ぎながらもバックスクリーン左に運び去った『野球の夢』で見せたベース一周は、あの時とそっくりでした。

 忘れ難いセギのホームランはもう1本あります。2004年のプレーオフ、勝った方が第2ステージに進む西武戦の初回、帆足に浴びせた先制3ランです。
“ドカーン!”という音が聞こえてくるようなレフトスタンドへの号砲は、ゲームに嵐を呼びましたもん。以下、江尻(しばらく彼の投球が見られないのは残念!)からカブレラが逆転グランドスラム。西武2点リードの9回表に、守護神・豊田から木元が描いた同点アーチは二次関数のグラフのような美しい放物線でした(ガガンボン日記をチェックしてみたら『虹のように信じがたい美しさ』と書いてあります)。結局、9回ウラに和田ベンちゃんが力の限り引っ張り込んだサヨナラアーチでフィナーレでした。

 別に通ぶってるわけではありませんが、僕は内野ゴロ・犠飛・スクイズでもぎとった点を必死に守り切るような1−0の投手戦に、少しでも多く出会うために実況をしているような気がします。「進塁打を打つための工夫」「積極果敢な走塁」「隠れた守備の美技」といったところに野球の魅力を感じるからです。でもホームランに始まりホームランに終わったこのL×Fは、強烈な記憶として残っています。

 鉄壁な堅い守りが売りなのに、肝心なところでは劇的な一発が飛び出るなんて・・今のファイターズはやっぱりパ最強チームです。でも今年のドラゴンズって、スッゴクしぶとそう。1球も見逃してなるものか!って気持ちで、僕も心して日本シリーズのマイクに向かいます。それでは第2戦・札幌の放送席から、釧路にいらっしゃるえのきど取締役とやりとりさせて下さい。楽しみにしています。



  斉藤一美

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