今までの


第一回戦

第一回戦のゲスト対談者は『子どもプラス』(雲母書房)編集者の平野勝敏さんです。

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六回表
 平野さん、ごぶさたしています。
いやあ、すいません、僕の方から声かけといてサボリっぱなしで、何て勝手な奴と怒っておられるでしょう。
すいません。本当にすいません。世紀をまたぎました。おめでとうございます。
ライター根性というんでしょうか、サイソクされないとなかなか書こうとしないんですよ、自分って奴が。僕、よく請求書を出せって出版社の人とかに言われるんですが、そういうのを怠けていて、そのうち「まだですか、早く請求書を出して下さい」って請求されることがある。

半年くらい試合中断してるんで、何を書いたらいいか見当もつきませんが、ライターって怠け者の人種、バカでウソつきで助平で金にきたなく、自分のこときり考えてないくせに計画性がなく、社会性もいーかげんな人種を編集者の平野さんは本当はケーベツしてませんか?
僕は娘がいたらライターへ嫁がせるのは嫌だなあ。一体、どうやって平野さんはライターと平気でつき合ってるんでしょう? コツは何ですか?

僕は編集者って人たちはみーんなエライと思うんです。本当にエライ。「今晩必ずやります」って言って、飲みに行ってるかも知れない、ナイター見に行ってるかも知れない、寝てやがるかも知れないのに編集者は会社で待ってんですよ。FAXの前であの人待ってんだろなあと思いながらナイター見に行ったり、寝ちまったことも僕は事実あります。娘はやれませんよ。バカなんだもん。

あ、そうだ正直に答えて欲しいんですけど殴りたいと思ったライターいますか? 一番腹のたったケースってどんなかんじです。俺ですか? 殴らないで下さい。平野さんの娘はいりません。娘いるの?



えのきどいちろう



六回裏
 えのきどいちろうさま

お返事、遅くなりました。
何の感慨をも伴うことなく二十一世紀がやってきました。相も変わらぬ日々を淡々とすごしております。

ライターの方たちとつきあうコツ。あるのかなあ。
自分じゃ意識したことないんですよね。
ただ、待つことを苦にしないというのはあるかもしれない。
ま、原稿を待たなければならないのは、つらくないと言ってしまうとウソになりますけど、編集者が原稿を書くわけにもいかないし、書けるわけもないんですから。代筆しちゃった人もいますけどね、大御所では。

編集者としては、ライターとチームを組んでいるような気持ちなのかもしれんですね。本なら本、雑誌なら雑誌を作りあげるためのチーム。そこは人間関係じゃないでしょうか。「いい本をつくりましょう」と決めて、仕事が始まる。当然、デザイナー、印刷所の営業担当者や現場の人もその環の中には含まれてきます。だとすれば、いくら原稿が遅いからといって僕がライターを殴ったところで、何の解決にもならない。むしろ関係が悪化して、できるものができなくなっちゃう。

とにかく、ライターからの原稿のアップが遅れたとしても、チームとしてうまくいっていれば、どこかの時点、誰かの段階で善後策のとりようはあるものです。何とかなるんですもん。ですから、ライターを殴ってしまうハメにはなりません。原稿を待つ間、イライラが高じて壁に拳で穴を開けた編集者の話を読んだことはありますが。

と、ここまで書いてきて気がついたけれども、編集者といっても千差万別ですよね。僕は今、フリーの編集者で、「子どもプラス」は一人で編集作業をやっているから、こんなことをのんびり思っているけど、大人数の編集部で各々の担当がきっちり決まっている雑誌なんかだと事情は異なるんじゃないだろうか。もっとシビアかもしれない。
何がシビアかはわかんないけど。

腹がたったケースというのは、ま、いろいろありますけど、思い出してると頭が痛くなってくるので、またの機会に譲ることにします。いずれのケースにしても、「もう二度と一緒に仕事はしたくないな」と強く思っただけです。

そうそう、うちには娘はいませんので、嫁がせるチャンスは幸か不幸かありません。



平野勝敏



七回表へ続く


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