今までの


第一回戦

第一回戦のゲスト対談者は『子どもプラス』(雲母書房)編集長(だろうと思っていたら、どうやら違うらしい)平野勝敏さんです。


一回へ


二回表
 えっ、平野さん編集長じゃなかったの?
 いや、びっくりしたなぁ。俺はホントに全然わかってないな。
 そうかあ、平野さん一人で雑誌作ってるから斉藤次郎さんはスーパーバイザーとかで、平野さんが編集長だと思ってた。
 だけど一般の人って市販の雑誌が一人で作られてたりするって想像もしないですよね。僕が学校出て初めて連載持ったのって『新譜ジャーナル』(自由国民社)ってニューミュージック誌だったんですけど、編集部を訪ねたら3人しかいないんでびっくりしたことがある。ああ、ホントに初めてって『宝島』(宝島社、当時はJICC出版)か、在学中に寄稿したんだ。
 『宝島』は10人前後いたからなあ、バクゼンと思ってた「編集部」ってもんに近かった。で、その後、あちこちで仕事するようになったら「編集長だけの雑誌」って案外あるんですよね。何でもかんでも一人でやってる。白夜書房とかベースボールマガジン社とか。凄いことだなぁと思います。

 前回、平野さんが書いてたことで「おとなに都合のよい考えが、子どもにとって息苦しい囲い込みを構成してないでしょうか」辺りのところが僕はよくわからんのですよ。僕はよくわからんのだなぁ、そういう話。
 いや、○○はこうあるべきだみたいな厄介な発想ってのは世の中にありますよ。僕もずっと今日に至るまでそういう窮屈な考え方と格闘してきたところがある(知らないけど)。
 でもね、厄介で窮屈って当たり前だとも思うんですよ。人は大概、身勝手なもんです。子供に対してだけじゃなく他人に対して大体都合にいいことばっかり考えてる。子供の頃は、何にも自分では決められないし何にも出来ないから、そりゃ窮屈ですよ。窮屈な子供の本質かも知れない。他人の思惑をぶっちぎるノウハウもすりあわせる実行力も持ってない。それで当たり前だと思うんですよ。
 その窮屈さのなかから身体で覚えていくことがあるんじゃないか。それと、あと、厄介で窮屈の陣営が昭和と比べて今はだらしなくなってるという風にも思います。あるいはタチが悪くなってるというか。陣営には「厄介で窮屈をしっかりやれ」と注文を出したいとこもあるんですよ。


えのきどいちろう


二回裏
 何かにつけ、「何でこんなことになっちゃったのかなあ」という思いが、このごろ、僕の頭の中を去来しています。ま、しょっちゅう、というわけではないけど、「何でこんなことに」的現象に、たびたび出くわすのです。
 それで、「子どもの息苦しさ」についてですが、やっぱり、えのきどさん、息苦しいですよ。いまの子どもたちは。それは、えのきどさんが前回言っていた「窮屈で厄介」な種類の息苦しさとちょっと違う。
 なんていうのか、すごく、みんな「いい子」なんだ。「いい子」でいるっていうのは、すごく疲れるでしょ。息苦しくなるでしょ。もっと子どもは、ハチャメチャでいいはずなのに。ハチャメチャが度を越したときに、おとながガツンという。
   「だめなものは、だめなんだ!!」。
 これが、健全なおとなと子どもの関係だと思うんです。この「ガツン」の正体が、えのきどさんのいう「窮屈で厄介」ということなんじゃないのかな。「昭和的窮屈厄介」か、どうかはわかりません。でも、ガツンといわれても、やりたいなら、やり通せ。「窮屈で厄介」と戦え、と僕はいいたい。
 おとなはしっかりおとなをやれ、子どもはしっかり子どもをやれ、です。
 なぜ、そんなに「いい子」をやっているのかというと、それはきっとおとなのためだし、親のためなんだと思う。それが、ぼくのいう「おとなの都合」ということなんです。
「おとなに都合のいい子」というのかな。じゃあ、なぜ、おとなの都合のいい子になりたがるのか、というとそれが、いまひとつ僕もわからないんです。いろんな人がいろんなことを言っていますが、ね。
 で、僕は、ここでも「何でこんなことになっちゃったのかなあ」と思うわけです。えのきどさんは、どう思いますか。「いい子」の息苦しさについて。

 これは、おとなにもいえますね。なんで、みんなそんなに「いい人」なのかな。「気難しい変人」なんて、あまり見かけませんよね。もっとも、僕もあまり「気難しい変人」とは、仕事したくないですけど。
 『子どもプラス』のような雑誌をやっていると、なんでもかんでも子どものいいなりになりたがる、物分かりのいいおとなのように誤解されちゃうけど、そうじゃない。子どもがしっかり子どもをやるためには、おとながおとなでなければいけないんじゃないかなあ。

 そう、いきなりですが、昭和の匂いはいつのまにか消えてしまったんですよ、きっと。
えのきどさんもぼくも昭和ひとけた生まれの親に育てられたから、昭和の窮屈と厄介は体で知っているけど、昭和の陣営は、もう頑張れません、たぶん。やはり、「時代は変わる」のです。

 それにしても、「何でこんなことになっちゃったのかなあ」、えのきどさん。


平野勝敏

三回表へ続く

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